私達の日々の生活を支えている金属材料。あまりになじみ深くて、日頃はその存在に気をとめることも少ないかもしれない。
鉄と人間社会の歴史的な結びつきについて考えてみますと石器時代、青銅器時代、鉄器時代と新しい材料がいつ生まれたのかに応じて社会体制が変化をしているのです。人間はいつから鉄を使ったか、考古学的には紀元前3000年以前と判定されているのです。

 日本では紀元前二世紀に初めて朝鮮半島から鉄器が北九州に伝来し、弥生文化となり急速に拡散し、鉄ヤジリ、手斧などが鍛造され、鉄の鍛造技術の存在が確立され、鍬、刀や馬具などが砂鉄から製鉄され日本列島は本格的な鉄器時代に入り国家へ形成が進んだとされる。
鞴(ふいご)技術が発展し焼き入れによる硬度が上がり(9世紀)刀鍛冶が多く輩出されたのです。この鉄鋼技術の進歩が火器(大砲、鉄砲、鎧)を発展させ、封建制度崩壊に一要因をなしたともいうことができるのです。

 私達人間のかかわる活動の場には至る所に鉄の製品が使われている。鉄で船を造り、橋をつくり、鉄道をつくり(1830年)、自動車を生産し(1890年)、加工食品(缶詰用ブリキ板)、家庭電化製品、台所用品、スチール家具、建築物など数えあげたらきりがありません。現代生活は鉄によっても演出されているといえるでしょう。
しかし、人々による理解は必ずしも十分ではなく、どの程度の強さ、内容ということは話題にされません。
スチール製品の洪水の中に浸っている現代生活を想うとき、もっと理解されていなければなりません。

 私達の足の下で地球という星が息づいています。この星にいきるすべての人々に伝えたい。地球にやさしい鉄、リサイクルもでき歴史の移り変わりとともに錆びて酸化物となり地球に戻るのです…。